こんにちは、れおです。
世界で一番売れているバイク、スーパーカブ。
丈夫なエンジンが売りですが、長く乗っていれば「アイドリングが不安定」「信号待ちでエンストする」といった不調も出てきます。
そんな時、ネットの情報を鵜呑みにして「エアスクリュー(AS)」を適当に回していませんか?
「ちょっと待ってください!」
経験上、カブの調子が悪いからといって感覚だけでスクリューをいじり回すと、100%泥沼にハマります。
今日は、整備の現場にいる人間として、そしてカブを愛する一人のメカニックとして、「一番確実なキャブ調整の正解」をお伝えします。

(これがカブのキャブレターです)
結論:迷ったら「1と3/4回転」に戻せ!
もったいぶらずに答えから言います。
カブ(特にC50やAA01などのキャブ車)のエアスクリュー調整で迷子になったら、今すぐ以下の作業をしてください。
- エアスクリューを一番奥まで(優しく)締め込む。
- そこから「1回転と3/4(1.75回転)」だけ緩める。
- そこで触るのをやめる。
これでエンジンをかけてみてください。
多くのカブは、この「基準値」に戻すだけで、嘘のようにアイドリングが安定します。
なぜ「基準値」が最強なのか?
カブの燃調がうまくいかない方の中には、「濃い気がするから」「吹け上がりが悪いから」と、スクリューを半回転も1回転も回してしまう方がいます。
しかし、世界のホンダが膨大なテスト走行を繰り返して決めた「メーカー出荷時の基準値(スタンダード)」より優れたセッティングを、感覚だけで出すのは至難の業です。
- メーカーの基準: 誰が乗っても、どんな天候でも、90点の走りができる設定。
- 素人の感覚調整: その瞬間だけ良くても、雨の日や冬場に不調になる設定。
「下手にいじるより、基準に戻す」。
これが、カブを長く快調に乗るための鉄則です。
※車種や年式によって多少前後しますが、カブ系エンジンの多くは「1と3/4戻し(1回転半〜2回転の間)」がスイートスポットです。
実践!カブのエアスクリュー調整手順
では、正しい手順を解説します。
使う道具はマイナスドライバー1本です。
1. 場所を確認する
カブのキャブレター側面にある、マイナスの溝が切ってある小さなネジが「エアスクリュー」です。
(※アイドリング回転数を上げる「スロットルストップスクリュー」と間違えないように注意!エアスクリューは少し奥まった場所にあります)

(奥まったところにあるマイナスネジがエアスクリューです)
2. 現在の位置をリセットする
まず、エアスクリューを右(時計回り)にゆっくり回していきます。
【超重要】
最後に「キュッ」と止まるところでストップしてください。絶対に強く締め込まないでください! 先端の針のような部分が潰れると、キャブレターごと交換になります。優しく、優しく締めます。
3. 「1と3/4回転」戻す
完全に閉じた状態から、左(反時計回り)に回して緩めていきます。
- 半回転(180度)
- 1回転(360度)
- 1回転半(540度)
- さらに4分の1回転(90度)
ここが「1と3/4戻し」の位置です。
マジックなどでドライバーの柄に印をつけておくと分かりやすくなります。
4. エンジンをかけて確認
この状態でエンジンをかけ、5分ほど暖機運転をしてください。
この時点でアイドリングが安定し、アクセルを開けてもスムーズについてくるなら、調整完了です。これ以上いじる必要はありません。
5. 仕上げ:アイドリング回転数の調整
エアスクリューで「燃調」が整ったら、最後にエンジンの「回転数」を決めます。
キャブレターにはもう一つ、バネが付いている少し大きめのネジがあります。これが「アイドルスクリュー(スロットルストップスクリュー)」です。

(バネが付いていて、手でも回せるのがアイドルスクリューです)
- 右(時計回り)に回す: 回転数が上がる(ブォーン)
- 左(反時計回り)に回す: 回転数が下がる(トコトコ…)
【調整のコツ】
- エンジンが温まった状態で調整します。
- ギアをニュートラルに入れます。
- 「止まりそうで止まらない、力強いトコトコ音」の場所に合わせます。
注意点:
回転数を上げすぎると、ローギアに入れた時に「ガチャン!」と大きなショックが出てバイクを痛めます。逆に低すぎると、オイルの循環が悪くなったり、信号待ちでエンストします。
「トコトコトコ…」とリズミカルに回る、一番心地よい場所にセットしてください。
これで、キャブ調整の全工程が完了です!
【応用編】どうしても微調整が必要な場合
基準値に戻したけれど、「もう少しだけ煮詰めたい」という場合の調整法です。
ここからは「感覚」の世界になるので、以下のルールを絶対に守ってください。
- 一度に回すのは「8分の1回転(45度)」まで! 少しずつ変化を見ます。
- 分からなくなったら、すぐに「1と3/4戻し」へ帰還すること!
ケースA:混合気が「濃い」と感じる時
【症状】
- 排気ガスがガソリン臭い
- アイドリングが低く、ボソボソ言っている
- プラグが真っ黒
【対処法:薄くする】
エアスクリューを「左(反時計回り)」に少しだけ回します。
→ 空気の通り道が広がり、空気が増える=混合気が薄くなります。
ケースB:混合気が「薄い」と感じる時
【症状】
- エンジンが異常に熱くなる
- アクセルを戻しても回転がすぐに落ちない
- マフラーからパンパン音がする(アフターファイヤー)
- 息継ぎをする
【対処法:濃くする】
エアスクリューを「右(時計回り)」に少しだけ回します。
→ 空気の通り道が狭まり、空気が減る=混合気が濃くなります。
「基準値」に戻しても調子が悪い時は?
「言われた通り1と3/4戻したけど、やっぱりアイドリングしない…」
「信号待ちで止まってしまう…」
そんな時に、さらにスクリューを回そうとしていませんか?
それは間違いです。
基準値に戻しても調子が悪い場合、原因は「調整」ではなく、もっと根本的な「部品の汚れ・劣化」にあります。スクリューをいくらいじっても直りません。以下の3点を疑ってください。
1. スロージェット(パイロットジェット)の詰まり
一番多い原因です。キャブレター内部にある「スロージェット」という小さな部品の穴が、古いガソリンやゴミで詰まっています。
対処法: キャブレターを分解し、スロージェットを外してキャブクリーナーや細い針金で貫通洗浄してください。

(この小さな穴が詰まると不調になります)
2. 二次エアの吸い込み
カブ特有のトラブルです。キャブレターとエンジンの間にある「インシュレーター(黒い樹脂やゴムの部品)」やパッキンが劣化して、隙間から余計な空気を吸っている状態です。
対処法: エンジンをかけた状態で、キャブの付け根あたりにパーツクリーナーを少し吹きかけてみてください。エンジン回転数が変化したら、そこから空気を吸っています。パッキン交換が必要です。
3. エアクリーナーの汚れ
エアクリーナーエレメントがゴミで詰まっていませんか?空気が吸えずに「濃すぎる」状態になっているかもしれません。
対処法: エアクリーナーボックスを開けて点検し、汚れていれば交換してください。
まとめ:カブは「ノーマル」が一番偉い
カブの不調トラブルで一番多い原因は、「壊れた」のではなく「人間がいじり壊した」ケースです。
「なんか調子悪いな?」と思ったら、まずは魔法の言葉「1と3/4戻し」を思い出してください。
それでもダメなら、無理に回さず、内部の掃除やパッキンの点検に進みましょう。
基本に戻る勇気を持つこと。それが、あなたのカブを復活させる一番の近道です!
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